酔いどれスポーツ狂の日々雑感

サッカー、お酒を中心に思いつくままに綴ります。

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春に散る 新聞連載が終了

朝日新聞の朝刊で連載されていた小説が8/31で最終回となり、終了しました。
2015/4から約1年半の連載で全505回の長編小説。



20160907 2
『春に散る』
沢木耕太郎:作
中田 春彌:画



20160907 1
9/6(火)朝日新聞に作者:沢木耕太郎さんのインタビューが掲載されました。



毎朝楽しみにしていた氏の連載。
これまで読んだ新聞小説の中で一番の傑作。
一言で『美しい小説』。
これに尽きます。



朝日の新聞小説は大物作家による秀作が多い印象。

現在は連載中の、
・夏目漱石 『吾輩は猫である』、
・綿矢りさ 『私をくいとめて』、
・金原ひとみ 『クラウドガール』
を読んでいます。



『春に散る』
メインストーリーはボクシングの話。
同じジムの同期、元世界ランカーだった中年いや老人4人が同じ家に住み、
若い才能溢れるボクサーを育て上げ、世界チャンピオンにまで上り詰めるストーリー。



第一話は主人公の元ボクサー広岡が、
ルート1をタクシーに乗りアメリカからキューバに向かうシーンで始まりました。
私はこのファーストシーンからすぐに物語に引き込まれたのです。



何というか説明がつかないのですが、沢木さんの小説の雰囲気、
中田さんのイラストのタッチが絶妙に絡み合い、物語の舞台にいるかのような錯覚でした。
キューバの暑さ、風、匂い、風景を目の前に感じたのでしょう。
広岡がバーで飲んだモヒートがやけに旨そうに思えました。
そしてモニターに映るボクシングの試合中継。
全てが私好みだったのです。



主人公が日本に帰って来てから様々なサイドストーリーが展開され、
登場人物が複雑に交錯します。
キャラクター全員がどこか影がある人物ばかり。
でも話は決して暗くありません。



恋愛模様も若干描かれますが、上品で控えめ。
個性の強い元四天王はじめ、登場人物の背景も丁寧に表現されています。



しかし物語の根幹は、主人公広岡の芯の強い、筋の通った渋いキャラクターに
因るところが大きいです。
かつ、広岡が心臓に病を抱え命が燃えつきそうな表現は、
終始一貫してハッピーエンドは期待できない流れ。
そもそもタイトルが『春に散る』ですからね。



最終回、黒木と約束した後の帰路で倒れる広岡。
あのまま逝ってしまうのか・・・・・
あるいは一命を取り留め、若い二人とアメリカで新たな生活を始めているのか・・・
読者に想像を委ねたラストシーン。
続編があってもおかしくない展開とも言えます。




私は基本的にボクシング好きのため、興味深く読み進めることが出来ました。
キューバの情景、後楽園ホールの雰囲気、技術論等・・・
氏のボクシングに対する深い愛情が溢れた作品でした。
沢木さんの小説を読んだのはこれが初めて。
以前、朝日に連載されていた『銀の街から』という映画エッセイは読んでいましたが。



なんて知的で美しい文章を描く作家なのだろう と感じていました。
エッセイや小説を多数発表されているようなので、今後いくつか読んでみたいと思います。

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七つの会議 池井戸ワールドへ

先日、下記書籍を単行本にて読了しました。
小説は基本的に単行本を購入します。
文庫本に比べて高価ですが、表紙及び装丁が美しく、
本を所有する喜びを感じられるからです。









2013年にNHKが東山紀之主演でドラマ化した作品。
(私はドラマを観ていませんが・・・)



一部上場企業の子会社である中堅電機メーカー・東京建電が物語の舞台。
役職や職種の異なる社員たちが自社の起こした不祥事に巻き込まれていく群像劇。
多くの社内会議を描くことによってその内容や意外な全貌が明らかになっていく・・・
登場人物達がそれぞれの立場から不祥事に、直接的・間接的に関わることになります。
いわゆる『クライムノベル』といった内容。



池井戸作品を読むのは、これで6作目。
以前も触れましたが、金融物よりメーカー物の方が断然面白いと思います。
本作も氏の経済小説の特徴がよく出た良作といえましょう。



各章ごとに主人公(語り手)が異なり、短編集かと思わせますが、
最後には全てが線で繋がる長編小説です。
ヒガシがドラマで演じたように、第1章の原島万二が主人公かとだれもが感じるはず。
しかし本作の場合、明確な主人公が誰かはあまり大きな事ではないかもしれません。



それくらい、何人か登場人物の印象の好悪が、最初と最後では大きく変化します。
(経理の新田は、最初から最後まで器の小さい人間でしたが・・・)



第3章の『コトブキ退社』は、物語全体に一見関係なさそうですが、
実は一番内容の深い事実を表現しています。

・平凡な社員が頑張ること
・何かやり遂げた実績を残すこと
・前例のない未開拓の分野にチャレンジすること
・関係部署との調整
・頼れるブレーンの存在
・会社の利益に貢献するのか否か?(全てがこの尺度でよいのか、本当の利益とは?)



もう一つ印象に残ったのは、第6章『にせライオン』。
やり手営業部長の北川を指した言葉。
うまい表現です。
一見、実力者であり権力者、自分を大きく強く見せるのが得意な人っていますよね。
しかしメッキが剥がれると惨め。
真の実力・・・いや『胆力』まで備えた上司にはなかなか出会えないのが現実。




最終章のまとめは、やや尻切れトンボ気味。
事件解決後、あと20ページくらいは心地よい余韻を楽しみたかったです。



しかし小説全体としては、
勧善懲悪が既定路線とはいえ、ハラハラドキドキ最後まで楽しめた物語でした。
最後に八角を支える妻の存在がイイです。




『虚飾の繁栄か?真実の清貧か?』
最後の文章は世のサラリーマン永遠のテーマといえるでしょう。

夏目漱石の『門』を読んで

先日まで朝日新聞で連載されていた小説が終了しました。



asahi mon
■ 『門』  夏目漱石
全104回、朝日にて105年ぶりの連載だったそうです。



『三四郎』『それから』に続く前期三部作、最後の作品。
『それから』の代助、その後の物語といえる内容。
主人公の宗助が親友の安井から妹?妻?御米を奪い、社会から逃れるように暮らす
夫婦の淡々とした日常を描いている。



特に大きな事件が起こるわけでもなく、あまり変化のない物語。
大きな軸は、過去に犯した罪(親友から女性を奪う)を常に背景に持ち、
世間の片隅でひっそりと生きていく夫婦の姿。



根底に流れている卑屈さや暗さが、私には好きになれません。
気持ちは理解できますが、一生過去を足枷に生きていくことは、あまりに惨め。
もう少し前向きに、明るさや力強さを持たないと読んでいて辛いです。
こういう小説は明るく前向きでは雰囲気がなく、成り立たないのでしょうが。



『門』で描かれる悩みは現代社会でも普遍的な事ばかり。
仕事のリストラ、給料の低さ、親戚との付き合い、弟の同居、妻の体調不良、
夫婦に子供ができないこと  等々・・・・・。
どれも身近で理解しやすい事柄ばかり。
古今東西、どんな世の中でも人間の悩みは共通なのかもしれません。



物語の最後半、親友安井が身近に出現しそうな段階で、宗助は鎌倉へ参禅に向かう。
お寺での参禅は、私も会社内の研修で何回も経験しているため、興味を持って読んだ。
寺門をくぐり和尚に座禅の手ほどきを受け、与えられた課題や自分の悩みを
解決すべく座禅を組むが何も得られない。



それはそうです。
たった10日の参禅修行で何かに開眼したら、世の修行僧は存在しません。
私も社内研修で年に何回も禅寺に上り、読経や座禅を組みますが
大きく目に見えた変化は感じません。



しかし、
心が落ち着いたり、清々しさを感じたり、何かスッキリしたりと毎回得る物はあります。
永く続けるからこそ到達できる境地があるのであり、
具体的な解決策など簡単に見つかるわけがありません。



結局は自分次第。
誰かが悪いわけでもなく原因は我にあり、即ち因果応報。
振り返って我が身を見れば、悩みや困難があってこその人生。
人生は思い通りにならない事の方が多く、だからこそ面白い。
私は主人公の宗助を反面教師にしたいと思います。

『満願』 心の闇に迫るミステリー

久しぶりにミステリーを読んでみました。
今年3月に購入して以来、ずっと積読状態だった作品。




『満願』
著者:米澤穂信


第27回山本周五郎賞受賞作。
2014年度ミステリー年間ランキング 国内3冠達成。
3冠独占は史上初とのこと。



表題作を含む6つの短編集。
著者の作品を読むのは初めてでした。



それぞれの短編は、登場人物・内容とも完全に独立していてシリーズ物や連作ではない。
警官・中学生姉妹・ビジネスマン・フリーライターなど異なる環境の主人公達が
巻き込まれる奇妙な事件や事故。



精緻な伏線が張られた本格ミステリーとは趣が異なる。
ドラマ『世にも奇妙な物語』を彷彿させるストーリー。
物語の終盤には必ず背筋がゾクッとするような独特の雰囲気。
6編全てが暗く、ねちっと重く、何やら陰湿。
救いのない結末も含めて、決して好みの小説ではない。



好きか・嫌いか?・・・嫌い。
面白いか・面白くないか?・・・面白い。



以上に尽きます。
好みではないが、先が気になりどんどん読み進めてしまう中毒性。
独特です。



普通に生きている一般人が他人に隠している心の闇。
その見たくない、知りたくない誰でも持っている醜い人間の性を見せつけられて、
読後感が気持ち悪いのでしょう。



『夜警』
『死人宿』
『柘榴』
『万灯』
『関守』
『満願』



直木賞の選考委員会では、東野圭吾氏が基本的事実誤認の指摘をしたようです。
(万灯のコレラ菌感染経路、満願の遺族の借金返済義務について)



プロの欠陥指摘項目を除外して、物語の感想を。
理解できないのは『柘榴』。
好きというか、ゾクッとしたのは『万灯』、『関守』の2作品。



結末を知って何とも言えない人間の悲哀を感じました。
特に『関守』。
夜半に一人で読んでいると、思わず背後を振り返ってしまいます。
秋の夜長の読書でした。

下町ロケット ドラマ開始前に読みました!

昨年、父が購入した下記単行本を借りて読みました。





■ 下町ロケット
著者:池井戸潤
第145回直木賞受賞作(2011年上半期)



2011年にWOWOWで連続ドラマ化。(主演:三上博史)
私は当時、このWOWOW版ドラマを観ました。
とても良かった印象。



原作を読むのは今回が初めて。
池井戸作品としては5作目になります。
TBSでこの10/18(日)から連続ドラマ化されるということで、その前に何とか読了しました。



直木賞受賞当時から、いつかは読みたいと思っていた本作。
噂に違わぬ傑作です。
ドラマも良かったですが、原作はさらにイイ。
流石に直木賞受賞作、素晴らしいエンターテイメント作品。
やはり直木賞はこうでなくては・・・。



精密機械製造業である中小企業、佃製作所の苦楽、悲哀、葛藤、成功を描く物語。
大企業の陰謀・策略、銀行の非情さ、会社内の混乱、家庭問題等を
ジェットコースターのような展開で読者をグイグイ引っ張ります。
とても読み易くどんどんページが進みました。



そして物語一番の肝は・・・アイデンティティとプライドと夢。
自分たちは何にプライオリティを置いて仕事をし、生活しているのか?
お天道様に誓って、いや、自分自身に対して正直に、真面目に、プライドを持って進む。
短期的な目先の利益でなく、長い目で見てどうなのか?
何のために働き、生きているのか?



銀行の呆れるくらいの日和見主義や風見鶏ぶり。
組織内の嫉妬や足の引っ張り合い。
大企業独特の殿様目線。
現実の世界にも溢れているだろう魑魅魍魎たちが、これでもかと描かれています。



だからこそ、主人公の佃たちの潔い闘いに胸躍り、喝采したくなるのでしょう。
池井戸作品ならではの爽やかで、清々しいエンディング。
大いに堪能しました。



相変わらず安っぽい恋愛描写もなく、死人も出ない前向きな企業小説。
素晴らしいです。
池井戸さん自身は、銀行出身で半沢直樹シリーズ等の金融物が得意なようですが、
私はメーカー物の方が好み。
(空飛ぶタイヤ、ルーズヴェルトゲーム、下町ロケット)



10/3から朝日新聞で『下町ロケット2 ガウディ計画』の連載が始まり、読んでいます。
10/18からのTBS版ドラマも楽しみ。
主人公佃社長役の阿部寛、財前部長役の吉川晃司・・・ドンピシャの配役。
神谷弁護士役の恵俊彰・・・これはないよなー。(T_T)

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